上毛新聞オピニオン21に寄稿

言動一致で筋通す決意




ブランドポリシー

「企業アイデンティティ」とはプライベートにおいても言動と行動に矛盾がないことだと思っています。

私は、二十数年の海外生活を経て、2016年にみどり市で起業しました。世界各国から厳選した天然成分100%の素材だけで作った、石けんや保湿クリーム、ローションなどの化粧品や、植物の葉、根、実、樹、樹脂、果肉などに含まれる揮発性の芳香成分を抽出したアロマオイルなどの輸入販売会社です。

この販売会社は、「次世代への影響を視野に入れ、環境保護=健康=美をモットーに、環境に悪いモノ、身体に悪いモノ、疑わしいモノをできるだけ避けた生活環境づくりの提案」をブランドポリシーにしています。また、「誰もが次世代を育てるという普遍的な責務を間違いなく背負っている以上、その選択が次世代にどう影響するかということを十分に考える必要がある」ということも謳っています。娘の肌トラブル改善のために始めた生活を、そのまま企業としてのブランドポリシーにしました。環境保護を謳うのも、合成化学物質とは違い天然成分100%の素材でつくられた化粧品は環境にも優しく、環境保護が自身の健康につながり、健康が美につながるという考えがあり、また、次世代が安心して暮らせる環境を残したいという思いも強いからです。

「企業アイデンティティ」として、このようなポリシーを持って、天然成分100%の素材で作った化粧品類の販売をしてるわけですが、プライベートにおいても、バリ島にある日本語補習校ダンスチームの総指揮として、未だに深く関わっています。このダンスチームは「好きなことに向き合い真剣に打ち込んでもらいたい」という思いから結成したチームです。「好きなこと」「やりたいこと」「打ち込めること」がある子供は強いと思います。ただ単に楽しいだけでなく、時には悔しい思いや辛い思いをすることもあるでしょう。でも、真剣に向き合っていれば、乗り越えることができる。そういう経験をすることで精神的にも大きく成長できると思うのです。これからの人生、最悪な状況に直面することがあるかもしれませんが、どんな状況になっても諦めず乗り越えることができる逞しい大人になってほしいー。この個人的な思いが、「次世代を育てる」というブランドポリシーの文言になったとも言えます。

何が言いたいかといえば、企業としてのブランドポリシーと個人的な考えや活動に矛盾なく言動を一致させ、スジを通すことを心がけ精進していく所存だということです。バランス良く整合性が取れたアイデンティティは生きていく上で迷いをなくすと思うからです。

(視点~オピニオン21~:2018年11月2日に掲載)



上毛新聞は群馬県で最も購読数が多いというわれる地元の新聞です。その新聞の中に、群馬県で活躍する一般人の方々で構成される委員が毎年選出され、それぞれが執筆したコラムが掲載される「視点 オピニオン21」という欄があるのですが、わたくし岡柳慶が第26期新委員のひとりに選ばれ、2017年~2018年にかけて寄稿することになりました(全7回)。

今回は企業アイデンティティについて。今回は企業アイデンティティとは「企業理念やポリシー」、それから「活動」や「様相」の整合性です。ただ、創業者である私個人の信念、思考、行動と企業アイデンティティの間に矛盾があれば、そこにはアイデンティティがないと思います。

インティバリの場合、私個人の信念や思考、普段の生活(行動や言動)をそのまま企業理念やポリシーにしていますので、企業アイデンティティについて、普段は特に意識していませんが、何か迷いが生じた時は、企業と個人のアイデンティティの同一性に注視することで、自ずと進む方向が見えてくるように思います。


何にお金を払うか




最善の選択をして暮らす


2016年、二十数年間の海外生活を経て、群馬県みどり市に化粧品輸入販売会社プリオリタスを設立し「お化粧をしない化粧品販売会社の女社長」として企業しました。私がインドネシアのバリ島で手掛けた天然成分100%の素材だけ材料にし、その製造工程にもこだわった無添加石けんや保湿クリーム、ボディオイルやアロマオイルなどを扱う会社です。次世代への影響を視野に入れ、環境保護=健康=美をモットーに、環境に悪いモノ、身体に悪いモノ、疑わしいモノを出来るだけ避けたライフスタイルの提案を会社のブランドポリシーにとしています。社名のプリオリタスはインドネシア語で「最善の選択」という意味です。わたしたちの提案が選択肢のひとつになればという思いを社名に込めました。

そんな私たちの提案を受け入れてくれる方々が少なからずいます。その多くが敏感肌や乾燥肌など原因不明の肌トラブルに悩んでいる人たちです。人はそれぞれ肌質が異なるので、天然成分100%の素材で出来た化粧品が向いてる人もいればそうでない人もいます。自分の肌質にあったモノを選ぶことが大切だと思います。そういった中で、天然成分100%の素材で出来た化粧品を好まれる人たちが、数多くあるブランドの中から私たちの製品を選んでくれたことに感謝しています。同時に、費やして頂いたお金はある意味、投票用紙と同じだと思えます。

たとえば、私たちは、バリ島にて、火力や電力を使わない昔ながらの製法により海水から作らた天然天日乾しの塩をセレクト品として扱っています。スーパーマーケットなどで売られている化学的に作られた食塩ではなく、天然天日塩を選んだということは、天日天然塩に一票を投じたのに等しいと思うのです。もっと言えば、バリ島の産地では代々受け継がれてきた昔ながの製法にこだわり天然天日塩を作っています。重労働の割に実入りが少ないのでしょうか、年々継ぐ人が少なくなってきているのも事実です。それをどうにか存続していけるよう応援したいという思いもあります。

このように考えますと、私たちの商品を手に取って頂いてる方々は、私たちに一票を投じてくれたのと同時に、それぞれの思いを込めて頂いていると思います。そのような気持ちを裏切らないよう精進していく所存です。私たち自身、何にお金を払うのか、何に一票を投じるのか、何も考えずお金を使ってしまうこともありますが、資本主義の社会ではお金は力になるので、何にお金を払うか最善の選択をしたいと思います。

(視点~オピニオン21~:2018年9月19日に掲載)



上毛新聞は群馬県で最も購読数が多いというわれる地元の新聞です。その新聞の中に、群馬県で活躍する一般人の方々で構成される委員が毎年選出され、それぞれが執筆したコラムが掲載される「視点 オピニオン21」という欄があるのですが、わたくし岡柳慶が第26期新委員のひとりに選ばれ、2017年~2018年にかけて寄稿することになりました(全7回)。今回の投稿は、以前に投稿した「お金は投票用紙と同じ」に加筆したものになります。


人生のベテランに学ぶ




覚悟を決め、今を生きる


私はお年寄り世代を人生のベテランとして無条件に尊敬します。人生のベテランは英知にあふれ、お話を聞いているだけで勉強になります。長く生きている分だけ経験された苦楽全てが糧となっているベテランのお話は、同世代、あるいは次世代との会話にはないことばかり。感動することさえあります。でも、私がベテラン達とお話するのが好きな理由は、このような単純なことだけでなく、それなりの裏付けがあるからだと思っています。その裏付けとは、人生のベテランは間違いなく若い世代より「死」を意識しているということ。死を意識している人は時間の大切さを知っているからなのか、まどろっこしい話はせず全てが本音。そして、怖いものなしのビックリ発言。覚悟を決めたベテランだからこそ飛び出す特有の本音トークが心に響くのです。

私は幼稚園の時に人はいつか死ぬと初めて知り大きな衝撃を受けました。自分の親もいつか死ぬんだと知った時は、悲しくて悲しくて何時間も大きな声をあげて泣いたことを覚えています。しかし、いつからか、限りある命だからこそ喜びがあるのだと前向きに捉え、奇跡的に生きている今を大事にしたいと思うようになりました。ベテランの本音トークを聞いていると、死を意識することで、ここまで潔くなれるのだと、改めて教えられるのです。そして、私も、生きている今この時間を大切にし、最大限有効に活かしたいと頑張れるのです。人生のベテランは、このようにやる気と勇気を与えてくれるのです。私も何時死んでもいいという覚悟を持ち、与えられた時間を無駄にすることなく今を生きたいと常日頃から思ってはいますが、実際、それを実践することは容易ではありません。逆に、今は死ねないという思いが強く足掻くことのほうが多い。それはそれで、今だからこそ出来ることだとは思います。だからこそ、私には到底真似できない正真正銘の覚悟を持ったベテランのお話は、ある意味、未知の領域であり、私の心に大きな刺激をもたらせてくれる。時に指針ともなる。人生のベテランのお話を聞くのが好きなのは、そういう理由からだと思います。

私が歩んできたこれまでの人生において、それぞれの節目となる、進学、海外移住、就職、結婚に海外での出産、そして企業した時にも、それなりに覚悟を決めたと思います。大した覚悟ではないかもしれませんが、それでも覚悟を決めて突き進んだからこそ今がある。これからの人生、まだまだ覚悟を決めなければならない時がくると思いますが、人生のベテランのお話を聞くと頑張れるように思います。

(視点~オピニオン21~:2018年7月28日に掲載)



上毛新聞は群馬県で最も購読数が多いというわれる地元の新聞です。その新聞の中に、群馬県で活躍する一般人の方々で構成される委員が毎年選出され、それぞれが執筆したコラムが掲載される「視点 オピニオン21」という欄があるのですが、わたくし岡柳慶が第26期新委員のひとりに選ばれ、2017年~2018年にかけて寄稿することになりました(全7回)。

この間、電車のなかで、グズってる赤ちゃんを近くのご婦人があやし始め、すっかり機嫌がよくなり、そのお母さんが感謝していました。聞けばそのご婦人は81才。恥ずかしながらスーツケースを足で挟んで座っていた私はそのご婦人がそこまでベテランだと全く気づかず席を譲っていませんでした。非礼を詫びると「自分は席を譲られたことがない」「立っている方がトレーニングになっていい」と言うのです。乗り換えの駅が同じだったので途中まで一緒に行ったのですが、エスカレーターに乗るそぶりも見せず群衆と共に階段を下ります。最後に、「私も死ぬ時がくるまで精一杯いきるから貴方も頑張るのよ」とお言葉を頂きました。そんな人生のベテランとお会いしたこともあり、今回のテーマにしました。


誇るべき「故郷」の風情




「長男が感じた日本」


私には子供が4人います。上から女、男、女、男という順番で生まれきました。4人ともバリ島で生まれ育っています。そんな子供達ですが、長女は、幼少の頃、何度か日本に来たことがあり、今は神奈川県にある大学に通っています。次女と末っ子の二人も、昨年、初めて日本に来て、短期間でしたが群馬県みどり市の学校に通わせて頂きました。が、高校生になる長男は、16歳になった年に1週間だけ日本に一時帰国しただけです。だからというわけではありませんが、子供達の中では1番日本人っぽくない性格です。今回、そんな長男が感じた日本の印象についてお話したいと思います。

自然に囲まれた常夏の島バリで生まれ育った長男が、初めて日本に来たのが2016年の冬です。成田空港から長女が横浜に借りているアパートに向かったのですが、電車の中、駅構内や建物の中には暖房が効いているので、厳しい日本の寒さを感じることもなく、キレイな建物が並ぶ近代的な風景も、長男にとっては、然程の驚きはなかったようです。シンガポールやマレーシアには何度か行ったことがあり、似たような感覚があったのでしょう。

ただ、面白いことに、デパートやショッピングモールに行った時、店員さんが全員日本人だったことに違和感があったようです。日本なのですから当然ですし、逆に店員さんが日本人じゃない方が異様な感覚に陥りそうですが、海外で生まれ育った子には不思議な感覚だったのでしょう。また、「店員さんはみんなアニメ声だね」ということも言っていました。アニメで見た世界がリアルにあったことが多少の驚きになったようです。

そんな長男ですが、群馬県みどり市に来た時は心底感動したようでした。まず、横浜や東京では感じなかった寒さに驚きます。風が吹く度に「うぉー」という叫び声を上げ縮こまっていました。さらに、山頂に雪が積もっている赤城山と豊かに広がる田園風景、そして所々に見られる日本家屋に松が印象的な庭。そんな寒さと風情のあるみどり市の風景を見た長男が、「これが日本だよね」と言ったのです。長男が思い描いていた日本がみどり市にあったのです。

海外から日本にくる旅行者の多くが思っている通り、キレイに整備された近代的な都市、そして、その中にある歴史的建造物、富士山、桜などが日本の象徴だと思います。しかし、故郷という感覚もまた日本が世界に誇るべき象徴ではないでしょうか。人の温かみが溢れる昔ながらの風景と季節感、そして、そこに垣間見える伝統、文化、歴史。そんな何時までも変わらぬ風情に故郷を感じるのだと思います。


(視点~オピニオン21~:2018年6月3日に掲載)



上毛新聞は群馬県で最も購読数が多いというわれる地元の新聞です。その新聞の中に、群馬県で活躍する一般人の方々で構成される委員が毎年選出され、それぞれが執筆したコラムが掲載される「視点 オピニオン21」という欄があるのですが、わたくし岡柳慶が第26期新委員のひとりに選ばれ、2017年~2018年にかけて寄稿することになりました(全7回)。今回は、バリ島で生まれ育った長男が、16歳になって初めて日本に来た時にもらした感想について書きました。


温かい歓迎に夢と希望




「バリから日本の学校へ」

日本で報道されるイジメ、不登校、自殺、スクールカーストなどのニュースは海外にも聞こえてきます。わたしが暮らしていたバリ島も例外ではありません。日本語学科に通う現地の大学生から、論文のテーマにしたいと「スクールカースト」について質問されたこともあるくらいです。イジメを題材にしたドラマが多かった時期もありました。このような報道や番組は、海外で生まれ育った子供達にも少なからず影響を及ぼしているように思います。実際、私の子供たち4人も「日本の学校には行きたくない」と言っていたくらいです。

そんな子供たちですが、昨年、下の子2人が、生まれて初めて日本の学校に通わせて頂くことになりました。2人ともバリ島生まれのバリ島育ちです。これまで日本に来たこともありません。バリ島ではインターナショナルスクールに通っていました。放課後に週2回~3回ほどバリ日本語補習授業校に通ってはいましたが、インドネシア人ハーフの児童生徒が多く、日本のような先輩後輩という上下関係がありません。年齢に関係なくお互いが呼び捨てにしあう横のつながりが強い学校です。このような環境で育った2人が、日本の学校になじめるのか、少し不安がありました。

  下の息子は群馬県で1番のマンモス校である笠懸小に入学。登校初日に学年集会があり、その場で先生方やお友達に大歓迎されたそうです。面白い校長先生と情熱のある先生方、そして活気ある友達の皆さんに恵まれ、毎日張り切って学校に通わせて頂きました。

また、笠懸中に通うことになった上の娘も、登校初日から友達ができ、バリ島の学校にはなかった部活にも参加することができました。とてもよい経験になったと思います。5か月間ほど通い、バリ島に戻って行きましたが、中3だった娘は、皆が卒業してバラバラになる前にもう一度会いたいという理由で、今年の1月、現地校の休みを利用して1人で日本に戻ってきました。たった1週間でしたが笠懸中に通わせて頂くことが出来ました。残念ながら卒業式には出席できませんでしたが、式で流れた動画には娘の名前も入っていたそうです。

このような素晴らしい学校は日本全国探しても笠懸小と笠懸中しかない!ということはないでしょう。きっと、日本には、このように素晴らしい学校が他にも沢山あるはずです。海外で日本の暗い報道を見ると、日本の将来が不安になることもありましたが、こうして実際に間近で見ると、報道されていることが全てではないとあらためて思いますし、まだまだ日本の学校も捨てたものじゃない。夢や希望がもてる国だと思いました。がんばろうニッポン。

(視点~オピニオン21~:2018年4月7日に掲載)


上毛新聞は群馬県で最も購読数が多いというわれる地元の新聞です。その新聞の中に、群馬県で活躍する一般人の方々で構成される委員が毎年選出され、それぞれが執筆したコラムが掲載される「視点 オピニオン21」という欄があるのですが、わたくし岡柳慶が第26期新委員のひとりに選ばれ、2017年~2018年にかけて寄稿することになりました(全7回)。今回は、バリ島で生まれ育った中学3年生の次女と小学校5年生の末っ子が、生まれて初めて日本に行き地元の学校に通わせて頂いた時のことです。


誇りと自信を次世代に




海外からみた日本人像

私は、2016年5月群馬県みどり市で起業するまでの20数年間を海外で暮らしてきました。世界各国から人が集まるニューヨークに居たこともありますし、また2000年からの16年間は、世界的にも有名な観光地バリ島に居ましたので、色んな国の人と交流する機会を持ちましたが、その多くが、「日本人は礼儀正しく誠実で勤勉」というようなイメージを持ってくれているように感じ、とても誇らしく思ったことを覚えています。

これは、戦後大きな経済成長を遂げた世代が海外に出て作り上げた日本人像だと思います。それは日本の文化ともいえる武士道の精神と経済発展を遂げた誇りと自信により形成された日本人独特の人間性が作り上げたものだと思うのです。海外生活が長かったこともあり客観的に日本を見ることができたからこそ至った考えです。

同時に、あらためて自分は日本人だと強く意識するようにもなり、日本人として恥ずかしくない振る舞いを心がけるようにもなりました。そしてまた、諸先輩方が作り上げた日本人像の根底にある「日本人としての誇りと自信」は次世代へ引き継がれるべき財産だと思うようにもなりました。近い将来、多くの日本人が海外に活躍の場を求めるようになるかもしれません。また逆に、海外から多くの人たちが日本に集まってくることも考えられます。日本人として他国の人と交流を図る上で、「日本人は礼儀正しく誠実で勤勉」という日本人像が助けになると思います。

ところで話は変わりますが、今年は日本とインドネシアの国交樹立60周年です。その国交樹立60周年を祝う祭典が、日本国総領事館主催にて、先日バリ島でも開催されたのですが、私が総監督を務めるバリ日本語補習校ダンス部も、その祭典に出演させて頂きました。部員の多くは日本人とインドネシア人のハーフ、あるいは幼少の頃からバリ島で生まれ育った日本人の子供達で、その存在自体が日イ友好の証。両国を代表するつもりで出演しましたが、一方で、「日本人は礼儀正しく誠実で勤勉」と言われる根底にある、日本人としての誇りと自信を子供達にも持ってもらいたいという願いがあります。そういった思いを込め、今回、日本の伝統とも言える桐生織の生地を衣装に取り入れました。

ありがたいことに群馬県で生活を始めて間もない私をサポートしてくれる人たちが周りにいて成し得たことです。この場を借りて御礼申し上げます。有難う御座います。これからも、諸先輩方が作り上げてきた日本人としての誇りと自信を次世代に伝えられるよう精進していく所存です。


視点~オピニオン21~:2018年2月18日掲載

上毛新聞は群馬県で最も購読数が多いというわれる地元の新聞です。その新聞の中に、群馬県で活躍する一般人の方々で構成される委員が毎年選出され、それぞれが執筆したコラムが掲載される「視点 オピニオン21」という欄があるのですが、わたくし岡柳慶が第26期新委員のひとりに選ばれ、2017年~2018年にかけて寄稿することになりました(全7回)。今回の記事は、前回とは打って変わり海外から見た日本人像について。海外生活が長いと客観的に日本を見ることもできると思います。

経皮毒から考える~人任せの選択はしない




私がバリ島に移住した数年後、娘の肌トラブルがきっかけとなり天然成分100%の化粧品を扱うインティバリ社を設立して数年がたった頃、日本では「経皮毒」なるモノが話題になっていました。あれから10年近くたった今も「出産の際に羊水からシャンプーの臭いがした」という「経皮毒」に関わる都市伝説的なうわさがネット上で物議を醸しています。

 この「経皮毒」とは、薬学博士の竹内久米司氏と稲津教久氏らの著書「経皮毒―皮膚からあなたの体は冒されている!」に書かれている造語で、「化粧品やシャンプーなどの日用品に含まれる合成化学物質(有害物質)が、皮膚から体内に吸収され、分解されることなく蓄積して健康を損なう」というものです。著書によれば、この経皮毒がアトピーなどのアレルギー性皮膚炎、免疫力低下、がん、脳疾患、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫などの現代病を引き起こし、また胎児にも悪影響を及ぼす可能性があるとのこと。

一方、ネット上では「経皮毒」に反論する声も少なからずあります。実際、「経皮毒」はあくまでも仮説であり化学的に証明されたわけではありません。「自然派」や「オーガニックコスメ」を扱う業者と結託してでっち上げたウソだと中傷する声まであるくらいです。ただ、環境問題に関心のある人たちや、肌トラブルを抱える人たちにとって、「経皮毒」は特に驚く仮説ではなく、むしろ既成事実として認識していると思うのですが、どうでしょうか?また、合成化学物質の有毒性や危険性が化学的に証明されているか否かということも重要視していないように思います。

私は学生の頃に環境問題を学びました。特に興味深かったのが「水質汚染と合成化学物質の関係」について。近年、魚介類の生態異常が世界中で報告されているのですが、その原因は、「家庭から自然界に排出される洗剤やシャンプーに含まれる合成化学物質(有害物質)が、他の有毒物質と結びついて毒性を増し、自然界に異常をきたしている(複合汚染)」という見方が強く、複雑化した私たちの生活環境において、様々な要因が複合的に作用した結果、化学的に原因を特定することが難しくなってしまったのです。

このような生活環境において、化学的に実証されたことだけが真実とする考えは危険です。私たちにとっては、化学的に証明されてからでは遅いこともあると思うのです。個々においては有毒性が認められない合成化学物質でも、他の物質と結びついて毒性を増すという疑いがある以上、疑わしきモノは出来るだけ避けることが最善の選択に思えます。良いと言われていたことが実は悪かったということが起こり得るのです。何を選ぶか人任せにすることは出来ません。

視点~オピニオン21:2017年12月12日掲載


上毛新聞は群馬県で最も購読数が多いというわれる地元の新聞です。その新聞の中に、群馬県で活躍する一般人の方々で構成される委員が毎年選出され、それぞれが執筆したコラムが掲載される「視点 オピニオン21」という欄があるのですが、わたくし岡柳慶が第26期新委員のひとりに選ばれ、2017年~2018年にかけて寄稿することになりました(全7回)。初回は、専門家の間でも賛否両論ある経皮毒に関して執筆しています。



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